近年は火星探査機のパーサヴィアランスによるデータ収集や2030年代後半を目標とした有人探査計画などが盛り上がっていますが、火星の探査自体は数十年前から行われてきました。長年にわたる探査の結果、人間が捨てた1万5694ポンド(約7.1トン)ものゴミが火星に捨てられていることについて、ウェストバージニア大学の博士研究員であるCagri Kilic氏が解説しています。
Images of EDL Debris – NASA Mars
https://mars.nasa.gov/mars2020/mission/status/394/images-of-edl-debris/
Mars is littered with 15,694 pounds of human trash from 50 years of robotic exploration
https://theconversation.com/mars-is-littered-with-15-694-pounds-of-human-trash-from-50-years-of-robotic-exploration-188881
NASAは1971年に火星探査機のマリナー9号を打ち上げ、初めて火星の惑星軌道に人工衛星を乗せることに成功しました。その数カ月後にソ連がマルス2号を火星に送り込み、着陸には失敗したもののランダーが火星表面に衝突。続くマルス3号のランダーは火星表面への軟着陸に成功し、わずか1分未満ではあるものの運用が行われるなど、古くから人間はさまざまな人工物を火星に送り込んできました。
国際連合宇宙局によると、各国は計14回のミッションで18個もの人工物を火星に送り込んできたとのこと。火星へのミッションでは宇宙船を保護するモジュールが必要ですが、断熱シールドやパラシュート、着陸機器などはその後の探査には不要であり廃棄されるため、火星表面には「entry, descent, and landing(エントリー、降下、着陸/EDL)」によって生じたゴミが今でも散らばっています。以下の画像は、火星探査機のパーサヴィアランスが着陸した際に放棄されたパラシュートと機体の一部です。
また、過去に火星へ送り込まれて活動を停止した探査機も、そのまま火星表面に残されています。マルス3号、マルス6号、バイキング1号、バイキング2号、マーズ・パスファインダー(ソジャーナ)、ビーグル2号、フェニックス、スピリット、オポチュニティなどがこれに当たりますが、Kilic氏は「ほとんど無傷のこれらは、ゴミというより歴史的遺物と考えた方がいいかもしれません」と述べています。もちろん、これらの元探査機も摩耗などによって次第にゴミと化しており、キュリオシティのアルミホイールもところどころ欠けているとのこと。
Kilic氏は、これまでに火星へ送られた物体の総重量は約2万2000ポンド(10トン)に上ると指摘。現在運用中の探査ローバーの総重量6306ポンド(2.9トン)をのぞいたゴミは、1万5694ポンド(7.1トン)に達すると述べています。
今日の科学者らは、火星ゴミが現在および将来のミッションに及ぼすリスクについて懸念しています。パーサヴィアランスのチームは見つけたすべてのゴミを文書化し、ローバーが収集しているサンプルを汚染する可能性があるかどうかを確認しているとのことです。
GIGAZINE 2022年10月01日 12時00分
https://gigazine.net/news/20221001-mars-is-littered-human-trash/
月は大気がないから拡散しないので、汚染が広がる事はなかろう